世界で一番早い春 / 川端志季 1巻 感想

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晴田真帆(はるたまほろ)は26歳の漫画家。大ヒット作を完結させたばかりで、新連載に取りかかろうというところ、「何も描けない」という手紙を担当編集に送っていた。

実は大ヒットした前作は、とある人の原案を元に描いたものだった。綱渡りで何とか描ききったものの、0から作らなければならない新連載では完全に筆が止まってしまったのだった。

そのとある人とは、高校時代の漫画部の先輩、雪嶋。幽霊部員ばかりの漫画部の中で一人漫画家を夢見てひたすら描いていた。

雪嶋の姿勢に憧れるも、同じようにはなれないと葛藤していた過去の真帆。図星を突かれ雪嶋に当たってしまったある日、心臓を患っていた雪嶋は天国へと旅立ってしまった。

その後悔を胸に秘めたまま、雪嶋の設定ノートを使い作品を作り上げた真帆。自分の力ではないと後ろめたさを感じていた。漫画家として行き詰まってしまい家で一人飲んでいたある時、転倒した拍子に意識が飛び、気付けば目の前に雪嶋が。そこは10年前の漫画部、高校時代の真帆だった。

【感想】

漫画家のタイムリープもの。亡くなってしまった先輩の原案を元にヒット作を生んだ主人公の物語。

1話目は中々まとまった完成度で、主人公の苦悩や葛藤、これからの不安がひしひしと伝わりつつ、後半で物語が動き出していく感じがとても良い。タイムリープについてはこれから明かされていくのでしょうが、雪嶋の死にどう抗っていくか、雪嶋の作品をどういう形で世に出すのかというところがポイントになりそう。

漫画家として経験を積んだ状態でタイムリープするので、ごり押しで未来を変えていく真帆。雪嶋は自分の雑誌デビューを見ずに死んでしまったので、どうにか雪嶋にそこまでは…との思いで頑張る姿が眩しいです。

ただ、これをしたから現実世界で新連載を描けるのかと言ったらそうではないので…過去の後悔をこのチャンスで少しでも晴らせればという思いだけ。今のところタイムリープの原因もわからないのでそれは今後ですが、後半の流れを見るにやはり雪嶋の死をどうにかする話になるのかなあと。

死を回避するためのタイムリープというのはあまり珍しくなくなってきていますが、こういう場合は主人公のメンタルがとても重要になってくるわけで、この主人公はその辺りはかなり不安、というか難しい気もしています。

過去に戻って何か事を成せば未来が変わり、それが良い方に行くか悪い方に行くかというのはその都度違います。
1巻でも、上手くいったかと思えば…ということもあり、今後繰り返されるタイムリープにどう対応していくのか見物です。抜け道のような何かが見つけられるととても良いのですが。

KISSでの連載ということで、ある程度は恋愛要素も絡むのかなと思いつつ、死を回避するタイムリープはヘビーになりがちなので甘い話をしている余裕はないような気も。まあ、だからこそラストで爆発的な良いシーンが生まれるんですけどね。

雪嶋と真帆以外にも、担当編集が実は同級生で関わりがあったり、雪嶋の妹が意味深だったり、漫画部の部員たちもちょこちょこ出たりと、伏線はありそう。

1巻は勢いで読ませてくれますが、本当の始まりは2巻からのような気もします。外れの少ないタイムリープものでこの作者ですから、期待です。

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