プラタナスの実 / 東元俊哉 1巻 感想

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公園で配信用の動画を撮る少し変わった青年、鈴懸真心。
理研で働いている真心は、ある日とある病院の小児科にヘルプとして入った。小児科にはどうしても親の思いが付きまとう。知人の小児科医は、子供が好きだけでは務まらない、「小児科は心のコスパが悪い」とこぼしていた。

道ばたである親子と出会った真心。男の子は嘔吐しており、母親のスマホの記録からすぐさま対応を取った。真心の迅速な判断により男の子は救われたが、母親は自分の未熟さを嘆く。それを見た真心は、母親が残したスマホの記録が男の子を助けた、母親失格なんかではないと励ますのだった。

小児科医として確かな実力を持つ真心。ある日、父親から手紙が届く。過去の確執からしばらく会っていない父親が、北海道で小児科医を開くという。父を嫌っている真心だが、久しぶりの手紙とその文面から、一度会いに行くことを決める。

【感想】

小児科を題材にした医療もの。主人公の男の子は、少し変わり者ですが優しく、良い人オーラのにじみ出る好青年。

 

プラタナスの実 1巻

小児科は大変なんですね。まあどの科もそれぞれ大変さがあると思いますが、確かに子供と親がセットで来るのが小児科で、親はそれは必死でしょうし子供は子供で扱いに気を遣いますし、他の科とは違ったストレスと向き合わなければならないのかもしれません。

 

プラタナスの実 1巻

エピソードは短編ですが、親と子の絆や強さが描かれていて、わかりやすく良い話。親子のコミュニケーションというのは本当に難しいなと再認識させられます。親も親で、いつでも完璧とはいかないですからね。無意識に、気付かずに子供の負担になるようなことを言ってしまったり傷つけてしまったり。これは本当に難しい。

お母さんの仕事が大変な時期で、子供に我慢をさせてしまったことを悔やむ母親の話、良いですね…。

 

プラタナスの実 1巻
プラタナスの実 1巻

次の、お姉ちゃんと弟に留守番をさせていたら弟が体調を崩す話。両親が留守番をさせたことを悔やんでいるところに、真心が意見を言うシーン。これは、思っていても中々言えない。どうしても、「留守番させたこと」を悔やむのが親、というか人間でしょう。それを「お姉ちゃんに留守番をさせてよかった」と言えるかどうか、弟を救うと同時に、お姉ちゃんも救うというとても感動的な話でした。

 

プラタナスの実 1巻
プラタナスの実 1巻

後半は父親の元へ向かいますが、この父親との確執は母親に関係しているよう。真心の気持ちの整理はどうなのか。これからどこでどう働いていくのか、真心の進退も気になるところ。

短編の出来が良かったのでそれだけでも面白いのですが、真心というキャラクター描写も目が離せない、続きも気になる良作です。

 

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