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鬼の父親vs炭治郎と伊之助。これまでとは比べものにならない鬼の力に苦戦を強いられる二人。炭治郎は吹き飛ばされ、伊之助と鬼の一対一となってしまう。
吹き飛ばされた先で炭治郎は、鬼の姉弟と出会う。そこでは、弟の鬼が姉の鬼を切り刻んでいた。
家族の絆で結ばれているという鬼、累(るい)。しかしそれを炭治郎は否定し、累の逆鱗に触れた。
場面は変わり、伊之助へ。鬼に対して全く歯が立たない伊之助。ついに捕まり殺されそうになるそのとき、現れたのは冨岡だった。伊之助が全く斬れなかった鬼を冨岡はいともたやすく斬り落とし、伊之助を救った。これだけ苦戦した鬼だったが、十二鬼月ではなかったという。
炭治郎vs累。父親の鬼よりも固い累の糸に、炭治郎は圧倒的不利に追い込まれる。糸に囲まれ万事休すかと思われたが、そこで禰豆子が助けに入った。その様子を見た累は兄妹の本物の絆を感じ、禰豆子を手に入れようとする。累は、他の鬼を自分の支配下に起き、家族として振る舞うことで本物の家族の絆を作ろうとしていた。そして、累こそ本物の十二鬼月だった。
禰豆子は累に奪われ気を失ってしまう。累の糸の強度に付いていく炭治郎だが、あと一歩が届かない。ここまでと思ったその時炭治郎が見た走馬燈は父親との記憶。代々伝わる呼吸。ここ一番にてその呼吸を体得した炭治郎は累に一矢を報いる。
そして、目を覚ました禰豆子は窮地の炭治郎を見て自身の血鬼術を発動。禰豆子と炭治郎の絆の力が、累の首を斬り落とした。
姉の鬼。累に従わされていた鬼の前に現れたのは、鬼殺隊の柱の一人、胡蝶しのぶ。首は斬れないが、毒により鬼を殺す剣士だった。
首を斬り落とされた累だが、まだ生きていた。もう動けない炭治郎だったが、そこへ駆けつけたのが冨岡義勇。冨岡の前に累はあっけなく首を落とされ、本物の家族の絆を手に入れることは叶わず死を迎えた。
【感想】
柱の登場、そして何より、鬼側の視点が色濃く描かれた話でした。
前巻でボスっぽく現れたのはフェイク。黒幕は息子の役割で動いていた鬼で、家族ごっこをしていただけ。しかも十二鬼月でした。
炭治郎は戦いの中で一気に成長しますが、やはりまだあと一歩。十二鬼月の強さと柱の頼もしさがよくわかった戦いでした。
あと、禰豆子の血鬼術。鬼としての能力を初めて見せました。このシーンの炭治郎と禰豆子のタッグは中々気合いが入ってますね。ヒノカミ神楽の呼吸ってのはちょっといきなりでしたけど、水の性質の炭治郎に火にまつわる呼吸が継承されてたとは。
この巻で一番の見所は、鬼の走馬燈。その後の冨岡と炭治郎の会話ですね。人を喰った鬼に情けをかけるなという冨岡に対して、鬼は人間だったんだから、醜い化け物じゃないと主張する炭治郎。
今回の家族ごっこをする鬼の登場で、一層元々は人間だったということがフィーチャーされました。こういうのは好きですね。めちゃめちゃ悪い敵も好きですが、こういう同情出来る敵も良い。お涙頂戴的な設定は、炭治郎の優しさと非常にマッチします。この鬼の境遇は不幸で、幼いが故の過ちで、もう取り返しもつきませんが、炭治郎がそういってくれることで少しは報われるのではないでしょうか。
この巻はこれまでの4冊に比べて一気に格が上がったような印象を受けた巻でした。伊之助と善逸が少し引っ込んで、炭治郎・禰豆子がメインだったのも要因なのかもしれません。いずれにせよ面白かった。
ラスト、炭治郎と禰豆子に気付いた冨岡と、禰豆子を標的としたしのぶ。柱に認知された炭治郎と禰豆子のこれからはどうなるのでしょう。