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上弦の壱を倒した柱たち。その代償は大きく、時透と玄弥はこの世から去ってしまった。
無惨を抑えていた珠世は限界を迎え、ついに無惨は復活する。鬼殺隊を取り込み、珠世を殺し、無惨は体力を回復しながら柱達の殲滅に向かう。そして、炭治郎達の前に姿を現した。
無惨の詭弁に心から嫌悪する炭治郎。
愈史郎が上弦の肆を操り、無惨に相対するは炭治郎、冨岡、甘露寺、伊黒、後に悲鳴嶼と実弥も駆けつける。愈史郎の能力により無惨諸共地上に出すことに成功するが、夜明けまでまだ一時間半もあった。それまで無惨をこの場に留めなければならない。
無惨の実力は上弦とは比べものにならない強さ。斬っても回復が速すぎるため斬り落とすまでに至らない。右目を切られた炭治郎は、無惨の血の影響を受け倒れてしまう。その時、遠く離れた鱗滝の元で、禰豆子が覚醒する。炭治郎は死の間際、走馬燈を見た。
そこでは、縁壱の姿が。縁壱と共に暮らした、うたという女性。縁壱の心の支えとなっていた彼女だったが、鬼に殺されてしまった。それから鬼狩りを始めた縁壱は、呼吸法を他の鬼狩りに伝授し広めていった。縁壱が始まりの呼吸と言われる所以。
そして、ある日縁壱は、鬼の始祖である無惨と出会う。
無惨のスピードと間合いの広さに驚きながらも、無惨を斬るために編み出した新しい型は、鬼の始祖である無惨にも効果があった。敗北を喫した無惨だが、自らの体を爆散させその場を凌ぎきる。僅かに残った肉片のみ、逃げ切った。
無惨と共にいたのは珠世。無惨を殺しきれなかったことを嘆くが、宥める縁壱へ無惨の情報を全て伝えた。
無惨を仕留められなかったこと、珠世を逃がしたこと、兄が鬼になったこと等から鬼狩りを追放された縁壱。しかし誰を恨むでもなく、自らの力不足を悔やむ縁壱。深く傷ついてきた人生、誰よりも重荷を背負わされてきた人生、子を抱く縁壱の目には涙が溢れていた。
【感想】
無惨の復活。最終決戦への始まりとなる21巻。
珠世も死んでしまいました…。モブは更にバタバタと殺されていき、もう炭治郎たちはやるしかない。ここで。そんな炭治郎も大ピンチに陥り…ここで動いたのが禰豆子。禰豆子は良いところで出てきそうですね。次巻に期待です。
無惨に出会った炭治郎。ここで無惨が宣う詭弁に炭治郎が心底嫌悪するシーン。大災に遭ったと思えと言う無惨の、神にでもなったような物言いに炭治郎が見せる表情は印象的。はっきり「生き物」と言っている辺り、お前は自然災害なんかではないということですね。
無惨に相対するのは柱が五人と炭治郎。これくらいいないと相手にならないというのは余りに強すぎます。だいたいボスは主人公一人、もしくはタッグで倒すのがこれまでの少年漫画のセオリーだったと思いますが、現段階ではひたすら数で押す。こういう戦いも見応えがあります。
その後は縁壱について。始まりの呼吸、無惨に勝った唯一の剣士。人としてもとても素晴らしかった彼が背負う業をここで思い知らされます。炭治郎の祖先である炭吉や黒死牟とも絡めたキャラにしてあるのはとても上手で、少しずつ小出しにしていた縁壱の存在が徐々に大きくくっきりとしていって、それが無惨を倒すために確実に必要なものとして展開されているのが分かるのでとてもわくわくします。
それと同時に、縁壱の儚さや悲しさを感じられる、アンニュイな雰囲気。最後の純粋な子供に触れて見せた縁壱の涙は、これまで感情を表に出せなかった縁壱の心が溢れ出した瞬間です。綺麗な話だなあと、素直に思いました。
これまでもそうですが、おまけページで作者から物語の補完がされているので、しっかり話を飲み込むには単行本がベター。作者さんは、初の週刊連載で大変そうで頑張っている感じがとても好感なのですが、漫画に落とし込むレベルがやはり他の作品よりも少し見劣りするのかなあという印象もなくはないです。ただ、逆に言えばその分コンパクトに完結したわけで、本当に必要な情報のみで勢いそのままに突っ走ったことは賞賛できると思っています。
本編には描かれなかったわからない部分は、読者に任せる形にして、わからなくても良いというのが僕の持論でもあるので、このスタイルも全然良い。
結局、描けば長くなるし描かなければ説明が足りないとなるし、どう思うかは個人個人違うので、揚げ足ばかり取らずにいたいものです。
ただ一つ、作者がどう思っているかは知りたい。本当はこう描きたかった、実力が足りなかった、ミスをしてしまった、完璧に描けた、これ以上上手く自分には描けない、など、作者が出来上がった作品に対してどう思っているのか、これは知りたいです。
締め切りがある以上、上手く描けなかった部分等もあると思いますし、それを全て完璧にするのがプロだとは思っていません。自信のないものが世に出るのは違うと思いますが、今の自分の精一杯を詰め込んだものが世に出ていることは事実だと思うので、そう考えるとあまりあれこれ言う気がなくなってしまうという、個人的な気持ちはあります。まあ、お金を払う娯楽なので好き勝手言うのも別に否定はしないんですけど…笑
その点、吾峠さんは正直に色々と書かれているので、嬉しいというか、作品の出来は置いておいても、好感が持てます。作品の質と一緒にするとあまり良くないのでしょうけど…こういった話を引き合いに出せるくらい、魅力的な作品だと思っています。
何か最終巻に書くような話になってしまいましたが…とりあえずあと2巻。もうあと2巻か…早いですが、続きも楽しみにしています。