自転車屋さんの高橋くん / 松虫あられ 1巻 感想

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30歳OLの飯野朋子は自分の意見を言うのが苦手で周りに流されてばかり。相手にも自分にも気を遣い、仕事では苦労も多かった。

自転車通勤の朋子はある日、チェーンが外れ困っていたところ、ヤンキーのような風貌の男に声を掛けられる。

自転車を直してくれたその男は何も言わずにその場を立ち去ってしまう。後日再会するが、彼は自転車屋の人間だった。

【感想】

自分を出すのが苦手なOLと自分の好きに生きているヤンキー風男子との恋愛もの。

主人公の飯野さん。いつもパンを咥えて通勤してるからか、仲のいい同僚からパン子と呼ばれてます。

飯野さんですが、自分の意見が言えない、典型的な流されやすいタイプ。仕事でもプライベートでも、本当は嫌なのに何でも流されて相手に合わせてしまう気弱な性格。

対して出会った自転車屋の男、高橋くん。訛りが強く、つなぎを着て金と黒の髪で口元にピアス。見た目はヤバそうですが、根は優しくアニメが好きな青年。

高橋くんの方から飯野さんに近付いてきている描写が多く、どうやら前から何か思い入れがあるようですが1巻では語られず。

基本的にはうまくいかない飯野さんの心情描写が多い作品で、女性特有の偏見に晒されるシーンも多々ありストレスも溜まる中、そういうことを気にせずにいられる高橋くんに少しずつ惹かれていく…という感じ。
まあ…この辺は割とあるパターン。

自分を出すことが苦手なそこそこ年のいった主人公というのも珍しくないですが、今作は随所にそういったシーンが見られ気になる人は気になるかも。

恋愛物ですが、展開は早く既にいくとこまでいきそうになっているのは良いのか悪いのか…。飯野さんの心の隙間にすっと入っていく感じ、結果オーライではありますし高橋くんの我を通す性格上間違ってはいませんが、グイグイいくな~という印象はあります。飯野さんもちょうどいい人が来たらすんなり受け入れるのな~と。まあ流されやすい性格上それも必然ですが。

とにかく今作は飯野さんと高橋くんの性格の対比が肝。変な言い方ですがそれで今作の良さが保たれていますね。

自転車屋の彼、というのがミソなのかなあと思っていたら単純に「ツナギ着たイケメンやべえ」という気持ちから勢いで生み出された作品だと言うことで、何となく納得。
あとがきで、こんな作品商業じゃ通用しないだろと思って眠らせていたと著者も言っていましたが、個人的にも地味な印象は拭えませんでした…。

それでもTwitterではバズり、かなりの人気を得ているわけで、こういった悪く言えば地味な、良く言えばシンプルな男女の恋愛物は昨今指示を得やすい風潮なんだなと感じます。他作品でもそうですが、女性目線のシチュエーションやイケメンの存在が女性からの共感、指示を得やすいのでしょうね。正直、露骨に女性蔑視的なシーンを挟まれるとちょっと冷めてしまう自分としては複雑なのですが…笑