ひとりぼっちで恋をしてみた / 田川とまた 1巻 感想

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女子高生の有紗は、天然と言われる性格で友達からもネタにされていた。
周りはそんな有紗のことをかわいい友達として認識していたが、有紗本人は周りに迷惑をかけてしまう自分のことが嫌いだった。

有紗は豊崎先生に恋をしていた。しかし先生と生徒。最初から何かをする気もなく、思っていられるだけで良かった。

バレンタインのある日、早とちりで先生がもらったチョコを壊してしまう。それは先生が片思いをしていた女性からのもの。

自分はどうして他人に迷惑しかかけられないのか。親は自分のことを気にかけてはくれない。大好きな友達にはこれ以上迷惑をかけたくない。自分に優しくしてくれる人たちに、これ以上私という存在で手を焼かせたくない。

一人にならなきゃ、有紗はそう決意し家を出ることにした。

【感想】

不器用で天然な少女の奮闘物語。描写が丁寧で趣きがあり、主人公、有紗や周りの人たちの心情がすごく伝わってくる良い作品でした。

北海道が舞台。雪ネタが多いです。寒さの描写はどんどん暗転していく有紗の心情にうまくマッチしていて、作品の雰囲気にぴったりの舞台でした。

「恋をしてみた」とタイトルにありますが、恋愛要素も含めつつ、メインは有紗の成長物語。
1巻では鈍くさくて気にし過ぎで好意を素直に受け取れないという厄介な性格が全面に出ていて、かわいらしさと同時にめんどくささも悪い方向にマックスなため、気になる方もいるかも。
個人的にはこういう性格には理解があるので、頑張って欲しいという気持ちと、誰かサポーター来てくれという願いとがあり…後半は割とその願いに沿った展開になり嬉しいです。あとは、豊崎先生にこれからも出番が巡ってきて欲しいという期待もあります。

本当にこういう性格って上手くいかないもので。どんどん一人で勝手にドツボにはまっていく様が虚しい。だからこそ諭してくれる誰かが欲しくなります。ただ優しくするだけじゃない、誰かが。

誰も有紗の根っこに気付かず、蓄積されていく「申し訳ない」という感情。それが最終的には爆発してしまうわけで、友達も先生も良い人なのに、この上手くいかないもどかしさは、厳しいなあ…。

それでも有紗は卑屈になるわけではなく、前向きさはそのまま。一瞬やばい時もありましたが、何とか持ちこたえ。自分なんて、と言いつつもしっかり行動力はあり、どうすれば周りに報いられるかと考える様は好感です。

こういうキャラに対して、「自分がかわいいだけだ」「人に嫌われたくないだけだ」的な説教をする作品や読者が多いイメージですが、正直その展開は食傷気味ですので、そうならなくてほっとしてます。

自分がかわいくて大いに結構。ただし、良くしてくれる人たちの気持ちを勝手に自分で判断しないで、素直に「ありがとう」と言える人になって欲しい。そういうゴールに向かって欲しいなと思います。

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