HANDS / 中野ユウスケ 1巻 感想

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主人公の鮫島は元刑事で当時は捜査一課のエースとして名を上げていた逃亡追跡調査のプロ。

しかし、交通事故により妻と娘を失い、失意の末仕事を辞めふらふらしながら七年が経っていた。

そこへ友人から久しぶりの連絡があり、会いに行くと、そこに友人は居なく一人の少女が。友人からのメッセージでその少女、ユキをある人物の元へ連れて行って欲しいとお願いされた鮫島は、とりあえず様子を見ることに。

その日、総理の街頭パレードが開催されようとしていた。外に出た鮫島と少女はその街頭パレードに出くわすが、その瞬間、総理は何者かに殺されてしまう。

同時に、黒服が現れ少女を狙う。事態を飲み込めない鮫島だが、ひとまずユキを連れ黒服から逃げることに。

しかし万事休す、追いつめられる鮫島だが、そこでユキから手を握るよう求められる。手を握ると、目の前に大きな「手」が。
その「手」は鮫島の手と連動して動かすことが出来る。ユキは超能力者だった。

【感想】

大きな「手」というビジュアル抜群な超能力が周りを巻き込んでいきます。
ユキはその「手」は見えても自分で操ることは出来ないようで、誰かがユキの手を握ることで、その握った者が「手」を操れる。

総理が殺された際、ユキは間違いなく「手」が見えていて、誰かが操るその「手」によって殺害された。
ユキ以外にも超能力はいるようですが、何故かひたすら追いかけられるユキと主人公。

その追いかける側は国の上層部。国家権力を使われ、かなり厳しい鮫島ですが、元刑事で探す側のプロだった鮫島が今度は逆に隠れる側に。
探すのがプロなら隠れるのもプロと言えるので、この設定は説得力がありますね。

追う側の人間も何人か描かれ、全体的な規模はなんとなく把握できますが、鮫島にとっては何が何やらわからない状況。

読む側がどちらに傾いて読むか、鮫島同様分けが分からず巻き込まれるドキドキした感覚がいいのか、追う側追われる側を分けて描き俯瞰して物語を追うのがいいのか…。
個人的な好きな感覚としては前者ですが、その場合情報の出し方がかなりシビアで、安定的なのは後者。この作品は後者ですね。

絵に関しては少し動きが固く、アクションシーンで、よく分からず読む手が止まってしまうこともしばしば。コマごとには魅せてくれますが、続けて読むのには支障が出てしまったレベル…。

この作品は本当に、「手」で全て持って行きますね。現代の街で物理的な超能力攻撃。話は大人向けですが、少年的構想。

本格SF、と銘打つには少しドキドキが足りませんが、読みやすい点は良いと思います。