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小学四年生の秀二とその担任の杉谷。
沢渡家に家庭訪問で訪れた杉谷は、秀二の母親に対して、アメリカ人の血が混じっている秀二について差別的発言を繰り返す。
杉谷は、秀二に対して学校でいじめを行っていた。
怪しく思った母親は学校に相談し杉谷を担任から外してもらう。しかし、逆恨みをした杉谷は秀二に対して更に罵詈雑言を浴びせ、自殺を図らせる。
建物から飛び降り、怪我をした秀二。母親は憤慨し、杉谷に対して訴訟を起こすが、その裁判で杉谷から発せられた言葉は、全ては沢渡家と周りの人間のでっちあげだ、という証言だった。
【感想】
実際の事件を元にしたノンフィクション小説のコミカライズ。
迫力のある絵とコマ使いですが物語の進みはかなりスロー。じっくり描かれているので読みやすいです。
初めは沢渡家の視点で、いかにもな犯罪者である杉谷に対してどう抗うかという家族の話。しかし、中盤で展開が一変します。
「でっちあげ」というタイトル通り、おそらくそういうことだと思いますが、序盤の暗い雰囲気はいいリードの仕方だなあと思います。これは引っかからない方はいないのでは。
漫画はしばしば描写がイメージとして機能するので、現実か非現実かの区別を付けるのは不可能。引き込ませるという意味で騙したもの勝ちの世界です。
そういう点で言えばこの作品の掴みはよく、事実が次第に明らかになっていく様はミステリーのようでもあり、面白いです。
しかし、これがノンフィクションというのは、現実にはフィクションにも劣らないエグさを感じます。