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高校二年の刈谷優里は隣のクラスの青野くんに恋をした。
思い切って告白してみると返事はOK。二人は付き合うことに。
幸せの絶頂だった優里だが、ある日突然、青野は交通事故で亡くなってしまった。
付き合って二週間で死に別れた彼。もう死ぬしかないと思い詰めていた優里の前に現れたのは、青野だった。
【感想】
幽霊の彼と女子高生の物語。
男女が求め合う様子を描きつつもラブコメとは言い辛く、ホラーチックでシュールな独特な雰囲気は唯一無二です。
1巻通して読み終わったときは、何も言葉が出ず…面食らいました。これはどう感想を書けばいいかわからない。
タイトルは、死んでしまった青野に対する優里の気持ち。幽霊の青野に触るには死ぬしかない、それ程の強い思いがわかりやすく表現されたタイトルで、これを考えただけでもう天才的です。
優里はメンヘラチックで天然なキャラ。青野はごく普通の男子と言った感じですが、優里を包み込む青野の優しさが沁みます。
触れないからと透けた体を枕に通して、枕を抱くことで青野を抱いている風になるという…この発想、絵面のシュールさと二人の本気さが絶妙すぎてどういう感情で読めばいいのか本当にわからなかった。
枕の次は電柱でやりますが、ギャグとして笑い飛ばせないこの雰囲気。間違いなく、二人は本気なので…。
序盤だけ見れば普通の幽霊との恋愛ものかな、と思いますが、早々にその予想は裏切られ、1話後半では青野が優里に憑依するという謎展開。しかもこれが何だか不気味でホラーテイスト。
後々もこの憑依は出てきますが、何かの伏線かと思わせるような描写。その後も想像の斜め上を行く展開を重ねていき、何が何だかわからないまま1巻が終わります。
二人の恋愛が軸なのは間違いないのですが、幽霊の青野には何か秘密があるようにも思え、ただの幽霊ラブコメではない不穏さを感じさせます。
優里のキャラがそもそも変人の分類で、その勢いだけで話を動かせそうでもありますが、設定や世界観も十分期待できそうな怪作です。