スキップとローファー / 高松美咲 9巻 感想 【ネタバレあり】

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9巻出ました…!

まずは山田にスポットが当たります。

友枝ちゃんという女の子(こんな子いましたっけ…)が山田のことをかっこいいと言っていた…というところから。

いつもの感じで調子に乗ってウキウキ気分ですが、友枝ちゃんの友達から中途半端な気持ちで近づかないでと釘を刺されます。これには山田も堪える……。

それでも少しずつ友枝ちゃんのことを知ろうとします。こういう点は山田の良いところ。友枝ちゃんは本当に山田を気にしていて、山田もいつしか本気な気持ちに。
山田の
「自分をかっこいいと思ってくれてる子を 気になって何が悪い」
というセリフは、開き直りでも何でもなくて、恋愛ってそういうものですよねと思わせてくれる良いシーンです。


一旦山田は終わり、夏休みに突入。みつみは実家に帰る予定。妹の真春がみつみを僻んでるようですが、みつみは妹のためにバイトしてプレゼントを買ってあげようと考えます。

バイトをこなすみつみですが、そこで「もうみんなと遊べる機会はそうないかもしれない」と思い、みんなにみつみの地元で遊ばないかと提案をします。
一度は旅費を考えて諦めてたことだったのですが、それでも高校生活は短い。そう思ってしまったみつみの本音。友達が大事で、今が楽しい。そんな時はやりたいことはどんどんやった方が良いですね。時には大人の力を借りたっていいんです。
新幹線+ナオちゃんの運転で石川まで。楽しそう。

場面は変わり生徒会。氏家くんとみつみのやり取りが様になっていて、周りからもお似合いではと思われています。

みつみの一言であのロン毛をばっさりいった氏家くん。これはもうそういうことなのでは…?

そんなみつみと氏家くんが一緒に歩いているところを見かけた志摩。近くにいた陽キャ女子の発言にガチレスをかまします。

「陰キャには陰キャの青春があるんだね~」というセリフ。

志摩が本気でイラッとした様子が伝わります。ここでしっかり自分の気持ちを言えた志摩。今でも、あの時みつみを庇えなかったことが引っかかっているようです。
なんだか、一度みつみと離れたことで少しずつ志摩の心が動いているような描写。こういう積み重ねを描いてくれるのが嬉しい。

ちなみに氏家くんには好きな人がいるとのことで、みんなはみつみだろうと思い、みつみももしや私…!となりますが、実は八坂さんでした。氏家くん、それは中々なハードル…。

この生徒会の話はちょっとコメディチックでしたね。でも氏家くんにもスポットを当てて、ある意味みつみがナシということも分かったので物語全体としては進展か…?

そして、夏休みのみつみの実家旅行。新幹線とナオちゃんの運転で無事到着。

弟妹の真春と桔平に会いますが、真春はやはりみつみが東京に出たことを羨ましがっているというか、自分の田舎臭さが一種のコンプレックスになっています。

みつみはバイトして貯めたお金で買った財布を真春にプレゼントしますが、真春はなんと拒否。「自分がガマンしとるみたいに言うんやめてよ!」と怒りその場を離れてしまいます。

これにはみつみも呆然で、どうすればよかったかわからない戸惑いの様子。確かに、みつみは喜んでもらう確信を持ってた100%好意のプレゼントですからね…。

そして真春は偶然ふみと会います。

真春の愚痴を聞くふみですが、ふみにとってもみつみは大事な友達でありながら、高校から東京に出たみつみに思うところはあったようです。

それでも友達、結果的には応援する方向で、今は遠距離でも仲良くしています。

「前みたく毎日は電話しとらんし それぞれ友達とか彼氏とか お互いのこと思い出さん日も増えるんやろうな でも それでいいんやと思う」

この考え方が、若くして離れた友達と友達を続けていられる所以だなと、これが真理なんだよなと思います。

みつみ達は海に遊びに来ました。ふみちゃんと真春も合流。真春はみつみに財布のお礼を伝えます。よかったよかった。

志摩がふみにそれとなくみつみのバイトの話、財布のプレゼントの話を伝えますが、そこでふみからみつみのことが好きなのかと問われます。

慌てる志摩でしたが、経緯を説明するとふみからはこう返事が来たのでした。

「みつみちゃんって勉強以外 すっごい抜けとるんよ?」

これが志摩にどう響いたか…。志摩の心が動き出し始める瞬間でした。

銭湯に入るみんな。男は迎井と志摩の二人ですが、この二人が中々興味深い話を繰り広げます。

志摩は良い人ですが、自分のことはあまり他人に話さずどこか壁があって、それが迎井には気になっていました。

志摩には自覚がないので、それを聞いて色々と打ち明けることに。

志摩は、みつみへの好意が恋愛的な情熱ではなく、人としての「好き」で、それをエネルギーとして色々と構ったり交流をしていましたが、そもそも恋愛感情にしたくなかったという気持ちもありました。

迎井は「人として好き」な気持ちはあくまで前提であって、そこに特別な感情が乗っかって恋愛になるという持論。

志摩は「人として好き」と恋人の好きは別物で、恋愛の「好き」は色んなバフがかかってしまうから、人として好きになる方が難しいし重要だという持論。

なんか志摩はちょっとずれてるような気がしますが…。人柄は前提じゃなく大きな構成要素だとしても、やっぱり恋愛ってのはバフがかかってこその感情ですよね。バフがかからなきゃ逆に恋愛にならない。時には、多少人としてどうなん?ってことすら許せてしまうような錯覚に陥るのが恋愛で、そういうもんだと思います。そういう意味では志摩は子供の頃の経験もあり、冷めすぎているんだと思います。

それでもみつみにとっては、たった一つの特別な感情を志摩に与えていた。迎井からそう言われ、志摩も理解はしています。

何だろう、どういうモノなんだろうその特別な感情って…と志摩は考えながら、浜辺でカニを捕まえるみつみを見つめます。

思いを巡らせる志摩に、みつみから手渡された一匹のカニ。みつみの笑顔と物憂げな表情に、志摩の心が大きく揺れるのでした。

真っ赤になった志摩の1ページ。中々、衝撃のシーンです。ついに機械のような志摩の心に風が吹いてきました。まだまだ夏休みはこれから。実家でのエピソードも続きます。次巻も楽しみです。

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