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19世紀中央アジア、カスピ海周辺の地方都市。エイホン家に嫁いだアミル20歳。婿は12歳のカルルク。山向こうからやってきたアミルの、エイホン家での新しい生活。
アミルは受け入れられ、仲良く日々の暮らしを営んでいた。しかし、アミルとカルルクの外出中、アミルを出した家からアミルを返して欲しいと、実の兄が遣いとしてエイホン家へ訪れた。
別のところへ出していた嫁が死んでしまったため、代わりにアミルを連れ戻してあてがおうという父親の策。しかし、エイホン家は断固拒否し兄共々追い払う。
家間での争いも見える中、アミルとカルルクの夫婦生活はたどたどしくも順調に進んでいく。
緻密な絵と中央アジアの独特な雰囲気が織りなす夫婦の日常生活物語。
【感想】
再読です。
緻密で細かい絵、表情豊かなキャラ、歴史を感じさせつつ、どこか現代コメディチックなやりとり。小難しいことは考えずに、普通の日常ものと思って読んで間違いない傑作です。
この時代背景や土地柄のことについては何も知りませんが、狩りをしたり、建物を造ったり装飾品を作ったり、生活の営みが随所に見られ、その動きの細やかさに、タイムスリップでもしたような感覚に陥るくらいの完成度です。
新婚生活がメインで描かれ、カルルクと共におじさんへの挨拶に行ったり、カルルクが風邪を引きアミルが異常なまでに心配するお話だったり。舞台が特殊であれ、描かれるもののベースはいたってシンプル。
そこに、アミル奪還を目論むアミルの実家の話がアクセントとして入ります。兄が交渉に訪れるシーンは緊張の一瞬。こういったメリハリも重要ですね。
読ませる絵と落ち着いた雰囲気。また、作者が好きに描いているというのが分かるのも良いです。本当、最後まで楽しんで描いて欲しい。文句なくお勧めです。