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木となったユダは、アグニに自分を殺してくれと懇願する。
ルナの姿をしたユダに躊躇するも、拳を振り下ろすアグニ。
殺したユダと共に木は崩れ落ち、右腕のみが置き去りに。
気付くと、アグニとユダは浜辺に打ち上げられていた。二人とも裸のまま、アグニから炎は消え、落ちた右腕は再生されていなかった。
記憶を失ったユダを「ルナ」とし、兄妹とすることにしたアグニ。
建物に入ると、住人の女性らに銃を向けられる。彼女らはドマの教え子たちで、ベヘムドルグの難民から逃れ、ここに隠れ暮らしていた。
その後襲ってきた難民をアグニは追い払い、その時受けた銃弾により気を失うが彼女らに介抱される。そして彼女らは、力仕事を頼む代わりに、アグニ達にここに住む許可を与えた。
住人の二人がドマの生存確認から戻るも、一人は難民に捕まってしまった。
ルナの居場所を守るため、アグニは難民達の集まりへ赴き、全員を殺して帰還する。
その夜、住人の一人がアグニの元へ。彼女はドマの娘で、ドマを殺したファイアパンチを恨んでいた。アグニの強さを見て彼女は、アグニにファイアパンチを殺すようお願いする。
【感想】
話が急展開。一旦リセットされたように別の場所へ。
ユダの木を破壊したアグニ。ユダは木となり全ての祝福を使えるようになっていて、アグニの再生も炎も消せる状態、というのは5巻で言っていたのでアグニはその影響で再生の祝福が消え炎も消えてしまいました。
ただ再生に関してはその後、意図して出来るようになったようですね。描写が不十分なので何とも言えませんが。
ここまでアグニが悩んでいたことや、行動原理、生きる意味、全てが空っぽになってしまい、でも一番欲しかったルナがいる。実際はルナではありませんが、アグニとしてはもう、これでいい、とさえ思っている節があります。
ただ、ルナと一緒にいられればいい…という行動原理の元、人を殺すことも厭わない。炎がなくなり痛みから解放されたことで、脳の働きも今までと違っているのは間違いないでしょうけど、悟りを開いたような全てを諦めたような達観した表情が見て取れます。
これまでは演技もろくに出来ずトガタに怒られていたアグニですが、今や息を吐くように嘘を付けるようになってしまいました。
ドマを殺したときの狂気。それに怯えているのが何よりアグニ自身で、自分が変わっていく様が怖い。こんな自分は死んだ方が…というところでまたも、今度はルナからの「生きて」。
本当、この言葉をこんなに罪深く描けるのはこの作者さんくらいではないでしょうか。
物語が急展開したせいか、ゆったりした進みになり読者としても何を目指して読めばいいかよくわからなくなった巻ですが、最後の最後で一つの目的が。
自分の罪は、自分で。きっとそう思うアグニ。再生が不完全なので、方法はあるかもしれません。
問題は、ルナを残すこと。いや、ルナじゃないからいいのかな…。いずれにせよ、アグニが何かを決断しなければならない次巻。まだまだ楽しみです。