ゆうべはお楽しみでしたね / 金田一蓮十郎 1巻 感想

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ドラクエシリーズに初のオンラインゲーム版「ドラクエⅩ」が登場した。主人公のさつきたくみは、「パウダー」というHNで男ながら小さい女の子のキャラを使い、日々ドラクエⅩに明け暮れていた。

フレンドも増え、同じチーム同士徐々に仲良くなっていく。
ある日、フレンドの「ゴロー」さんから住まいの相談を受け、たくみの家でルームシェアをすることになる。

同姓同士ゲーム仲間とルームシェアが出来ることにわくわくしていたたくみ。
初の顔合わせで待ち合わせ場所に行くと、そこにいたのはギャルメイクをした気の強そうな女の子一人。

実はその女の子こそ「ゴロー」さん。女性ながら男キャラを使用していたのだった。

同姓同士と思っていた二人。女性に免疫のないたくみは混乱するも、既に引っ越すつもりで進めていたゴローは気にせず、ルームシェアをすることに。

突然女の子と同棲することになってしまった、草食系男子とギャル系女子のゲームを通じたシェアハウスラブコメ。

【感想】

同じスクエニ系列で、プロモーションも兼ねているのだろうなという本作品。
冒頭はアバターで描かれゲーム内でのやりとりだけでそれなりに進みますが、1話のラストでプレイヤーの本人が登場。
主人公パウさんとゴローさんが会うシーンは見開きを使った面白い見せ方。この作者さんは設定で読者の心を掴むのが本当に上手いです。

草食系を自称する主人公、ギャルで気の強そうなゴローさんに勝手にたじたじですが、徐々に慣れて打ち解けていく感じが良いですね。
元々オンラインゲームでは仲良くしていて人となりがわかっているので、初対面のようで初対面じゃない。この微妙な距離感で突然のルームシェア。
この絶妙なバランスが不思議な感覚にさせられ、これからの二人のやりとり全てが気になってきます。

しかもゴローさん、家でのすっぴん姿は童顔で大人しめの雰囲気…というところも主人公の心の動揺を誘っていて面白いです。

ゲームのオンライン上ではいろんなフレンドがいて、二人を含めて和気あいあいと楽しんでいるので、恋愛と言うよりは友達として遊んでいるというシチュエーションになり一定の距離感が常に保たれます。
しかし現実世界では彼氏彼女の話や仕事の話なども出て来てどうしても男女の意識はどこかで感じる。

ゴローさんに全くその気がない、というのが今後どういった展開になるのか。良作ばかりのこの作者だからこそ、期待してしまいます。オススメです。